カテゴリー別アーカイブ: 問題

在宅医療が解決する日本の医療問題について

在宅医療とは在宅で行う医療のことです。外来・入院についで第三の医療として期待されています。日本では65歳以上の高齢者数は2025年には3,657万人となり、「病人数が医療機関が対応できる限界数を超える問題」が近い将来発生します。在宅医療の環境が整備することで、今後の超高齢化社会で発生する問題を解決する一つの手段になりえるでしょう。

厚生労働省が在宅医療提供体制を整備するための施策をまとめた資料がありますので、下記にご紹介します。


▲在宅医療・介護の推進について

医療を受ける方法が、これまでの外来・入院から在宅医療へと変化することは間違いないでしょう。今後増加し続ける日本の超高齢化社会の病人を、医療機関・医療従事者という限られたリソースを使って、これまで通りの方法で対応することは不可能です。在宅医療というスタイルと、ITC・Webサービスなどを組み合わせた効率的・効果的なソリューションを生み出すことが求められています。

ポール・グレアムが描く「医療スタートアップの未来」

あなたは、ポール・グレアムをご存知ですか?アメリカの起業家であり、スタートアップのシードファンディングを提供する著名な「Y Combinator」を創設した投資家でもあります。

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ポール・グレアム(Paul Graham)

彼は非常に優れた洞察でITやスタートアップについての考えを示すのですが、彼が医療スタートアップについて語ったことがありますので、下記にご紹介します。

「継続的な医療自動診断について」

スタートアップのアイデアを生成するために私が使う方法の1つは、未来の世代から自分たちを遡って眺めたところを想像すること。50年か100年先の人々からしたら、我々の時代の人間が心臓病や癌のような病気を症状が現れるまで待っているというのは信じられないだろう。

たとえば2004年にビル・クリントンは息切れを感じ、医者が調べて動脈のいくつかが90%以上塞がっているのが見つかり、3日後に大きなバイパス手術が行われた。ビル・クリントンが最高の医療を受けていると仮定するのは当然だ。しかし、動脈が90%以上塞がるまで90%という数字を知らずにいた。将来、こういった事はなくなる。症状が現れて癌と診断されるまで、患者が待つことはありえない。癌は即座に見つかるようになる。

継続的診断に対する障害は、医療業界に逆らっている、ということ。医療というのはいつも、患者が問題を抱えて医者に相談し、医者が問題を見つける、という事。

スタートアップが直面する技術的な問題に加え、医療系スタートアップがみんな直面する官僚主義の問題があり、何千年にも渡る医療の伝統に逆らうことになる。しかし、それはいずれ起きる素晴らしいことだ。あまりに素晴らしく、未来の人々は現在の私たち私たちが麻酔や抗生物質以前の世代を哀れむのと同じように、哀れんでいるだろう。

現代の医療は、変革の過渡期にあるでしょう。未来の理想的な視点から逆算する彼の視点を持つことが、「医療スタートアップの未来」をつくるヒントになることでしょう。

日米の医療費・医療システムの問題

アメリカの医療費が高すぎるという話題はありますが、実際にどの程度の医療費か、ご存知ありますか?最近話題になった「アメリカの盲腸手術請求書」をご紹介します。

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2013年11月17日
請求合計額        $55,029.31(約550万円)
調整          -$43,909.78
お客様の支払うべき金額  $11,119.53(約111万円)
【1ドル=100円で換算】

Sutter General Hospitalをお客様の治療にお選びいただきありがとうございます。保険会社の請求額について支払い手続きが行われましたが、それを差し引いた残高についてはお客様の責任でお支払いいただくことになっています。
全額を早急ににお支払いください。

盲腸の医療費で111万円です。日本では、高額医療費制度がありますので、手術しても月で約10万円以内で収まるでしょう。つまり、アメリカと比較して日本の医療費は10分の1で済んでいるのです。さらに、この請求書の内訳は下記です。

2013年10月1日のご利用明細
部屋とベッド使用料    $ 4,878.00(約 49万円)
薬            $ 2,420.50(約 24万円)
検査室の使用料      $ 1,408.00(約 14万円)
回復室の使用料      $ 7,501.00(約 75万円)
医療・手術器具の使用料  $ 6,428.75(約 64万円)
CTスキャン        $ 6,983.00(約 70万円)
緊急室の使用料      $ 2,703.00(約 27万円)
点滴           $ 1,658.00(約 17万円)
その他の治療サービス   $ 210.00(約 2万1千円)
麻酔           $ 4,562.00(約 46万円)
手術室サービス      $16,277.00(約160万円)

合計支払額        $55,029.31(約550万円)

支払調整
保険金手当       -$37,448.31(約-370万円)
個人保険手当      -$ 6,461.47(約- 65万円)

元々の請求金額が550万円で、保険により435万円引かれています。もし、手術をして550万円請求されたら、どうされますか?そもそも、もし550万円請求されると分かっていたら、手術を受けますか?もし、家族の手術が必要になったら、どうされますか?

アメリカの医療システムは崩壊しています。日本の医療システムはどうでしょうか?世界的にも日本の皆保険制度は評価されている、国民のための優れたシステムです。しかし、その皆保険制度により日本の医療費は膨大になり、1000兆円を超える借金大国になっています。もし理想的な医療システムをつくれるとしたら、「誰のための」「どんな」システムにすべきか、じっくり考えるべきテーマではないでしょうか。

医療情報の非対称性という問題

病人にとっての大きな問題の一つは、「医療情報の非対称性」と言われています。これは、医者に比べて病人が医療に関する知識が少なく、病人自身が医療に関しての判断ができないことを指します。

この「医療情報の非対称性」についての問題と解決策に触れている調査資料をご紹介します。

医療情報の非対称性について

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この「医療情報の非対称性」により、病人は医療サービスの質・コストの評価が曖昧になるいう状況をもたらします。そうして、「医療の質向上のインセンティブ低下」「金銭的動機による過剰診療がおこる」という二次的な問題を引き起こします。

 

医療情報の非対称性による非効率の解消

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解決策の1つとしては、医療費の支払い方法を現在の「出来高払い」から「包括払い」に変えることです。コスト抑制のインセンティブがはたらくため、過剰診療を抑えることにつながります。

 

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解決策の2つめとしては、疾患別の患者データの活用です。具体的には、病気ごとに必要とされる治療手順を標準化した「クリニカルガイドライン」です。このガイドラインの普及によって、医療の質を管理することが期待できます。

 

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最後に解決策の3つめとしては、第三者による医療評価です。医療費明細書をデータベース化することで、異常な額の請求がないかどうかチェックしたり、ある疾病に対してどのような治療がなされたのかという情報を集めたりできます。

 

医療情報の非対称性の問題解決

この「医療情報の非対称性」という問題を解決するには、「医療知識が少ない病人」と「医療知識(知識人、データベースなど)」を上手くマッチングする仕組みが必要です。Webサービスで実現するためには、まず「医療知識(知識人、データベースなど)」が集まる仕組みをつくらないといけませんね。例えば、医者・医療従事者・病気経験者などの知識を持った人が集まるポータルサービス、または病人が自身に関するデータを記録して収集するアプリなどでしょうか。

つまり、この問題を解決するにはいわゆる2段階ロケットである必要があるということでしょう。1段階目に「医療知識(知識人、データベースなど)」の収集。そして2段階目に「医療知識が少ない病人」と「医療知識(知識人、データベースなど)」のマッチングをすることにより、やっとこの医療情報の非対称性という問題の解決に繋がるのだと思います。

 

また、下記で調査資料の全スライドを見ることができます。医療情報の非対称性に限らず、様々な日本の医療問題について調査されています。

▲「日本の医療問題」についての調査資料スライド

40年以上続く「消費者の立場からみた医療問題」とは

日本の医療問題を調べる中で、昭和46年に国民生活審議会会長がまとめた文書を発見しましたので下記に紹介します。昭和46年(1971年)という、40年以上前から続く日本の医療問題に気づくことでしょう。

1 健康管理体制の不備
2 医療に接するに当っての問題
ー(1) 医療の選択に関する情報の不足
ー(2) 身近かなホームドクターの欠如
ー(3) 緊急時における受診の困難性
ー(4) 公的病院の不足
ー(5) 保険診療拒否のおそれ
3 医療の内容に関する問題
ー(1) 医療サービスの質的低下
ー(2) 医療の質の管理の欠如
ー(3) 高度医療への接近の困難性
ー(4) 所見処置等に関する情報提供の不足
ー(5) 患者負担の過重
4 医療を受けた後の問題
5 意見の反映と教育
ー(1) 医療を受ける側からの意見の吸収の不足
ー(2) 医療に関する一般的な教育の不足

40年以上続く病人の問題

上記の中でも、現代の病人でも共通する問題として「医療の選択に関する情報の不足」「身近かなホームドクターの欠如」「医療を受けた後の問題」「医療に関する一般的な教育の不足」が挙げられると思います。

つまり40年前から変わらない病人の問題は、「医療に対して無知であり、自分が医療を受ける適切な選択ができない」ことではないでしょうか。

病人は自分が病気になって突然、病気や医療という難問の当事者として向き合うことになります。そして、病気に関して分からない、相談する相手もいない、どうしたらいいのか分からない、という絶望的な状況に陥るのだと思います。

 

病人の問題の解決策

この病人の問題を解決するには、上記の問題の逆を考えれば良いのではないでしょうか。つまり、「医療の選択に関する情報の提供」「身近かなホームドクター(相談相手)の提供」「医療を受けた後の疑問・不満の解消」「医療に関する一般的な教育の提供」です。

例えば、Ask DoctorsというWebサービスは、ネット上に「質問できる身近なドクター」を提供して人気を集めています。これらの40年以上前から変わらない根源的な問題を解決する手助けになる、病人のためのWebサービスが求められているのではないでしょうか。